矯正治療例
Case
治療例は、患者さんおよび保護者の同意を得て掲載しています。
23歳女性
開咬とガタガタを抜歯治療で治した症例
- 主訴:前歯で物が咬み切れない。しゃべるときに空気がもれてしまう。
- 診断名:開咬(かいこう)、叢生(そうせい)
- 治療に用いた装置:マルチブラケット装置
奥歯で咬んだとき、上下の前歯が7ミリ開いている重度の「開咬」の状態でした。幼少期、指先や布をかむくせがあったとのことで、それが原因で上下の前歯が前方に傾斜して開咬になってしまったようです。上下の前歯にガタガタもあり、開咬とガタガタの両方を治すためには多くのスペースを確保する必要があるため、上下左右の前から4番目の歯を抜歯する「抜歯矯正」をお勧めしました。ご本人は他院でも抜歯矯正の説明を受けたことがあるとのことで、あまり抵抗なく抜歯治療を受け入れていただけました。近医にて抜歯後、すべての歯にマルチブラケット装置を装着し、月に1回通院してもらいました。毎月ワイヤーを交換する度に硬いものを噛みづらいような軽度の痛みが2~3日あったそうですが、それは「歯が動いている!」という実感にもなり、全然苦にはならなかったそうです。まず最初の7か月でガタガタが解消し、その後1年2か月かけて犬歯と前歯を後ろにさげていきました。仕上げを含めて2年2か月で開咬と叢生が解消し、奥歯から前歯までしっかり咬めるようになりました。ご本人によると、麺類を噛み切れるようになったことにとても感動したとのことです。マルチブラケット装置は撤去し、上には「リテーナー」という取り外し可能な装置、下は裏側からワイヤーを固定する「犬歯間保定装置」という固定式の装置に変更し、3か月に1回の経過観察に切り替えました。舌で前歯を押すくせが少し残っていたため、リテーナーには舌を前に出しにくいような構造を付属しました。リテーナーを使用し始めて2年が経過しましたが、後戻りはほとんどなく経過良好です。経過観察をそろそろ終了するかを相談しましたが、後戻りが心配なのでもうしばらく通院したいと希望されましたので、引き続きリテーナーを使いながら経過観察しています。
※当院はできる限り「非抜歯」の治療を心がけており、抜歯治療は最終手段と考えています。治療後の状態を予測し、どうしても抜歯が必要な場合は抜歯治療のメリット・デメリットをご説明いたします。最終的にはご本人やご両親のご希望を加味した上で判断いたします。