矯正治療例
Case
治療例は、患者さんおよび保護者の同意を得て掲載しています。
48歳男性
ガタガタとすきっ歯を非抜歯で治療した症例
- 主訴:上下の前歯のすきっ歯が気になる。
- 診断名:空隙歯列(くうげきしれつ)、叢生(そうせい)
- 治療に用いた装置:マルチブラケット装置
10代のころから上下の前歯にすきまがあり、最近になってすきまがさらに大きくなってきた気がするとのことでした。診査したところ上下の前歯の、歯と歯の間にスペースがあり、上の前歯に軽度のガタガタ(ねじれ)がありました。レントゲンを撮影したところ、全体的に歯周病により歯の土台(歯槽骨)が吸収してきていることが疑われました。歯周病の状態で矯正治療を行うと歯周病が悪化する可能性があるので、まずは一般歯科にて歯周治療を行ってもらうことになりました。歯石除去などの歯周治療を半年程度行い、歯槽骨の状態が十分改善したことを確認した上で、矯正治療を行うこととなりました。矯正装置は、歯周病の既往を考慮して歯の清掃性の良い「マウスピース型矯正装置」をお勧めしましたが、費用の面で安価な方が良いと希望されましたので、日々のブラッシングを徹底していただくことを条件として「マルチブラケット装置」で治療することとなりました。この装置はすべての歯に「ブラケット」というボタンを特殊な接着剤にて接着し、ワイヤーを結び付けて歯を動かしていく装置です。装置の構造からして歯石の再付着が心配でしたが、当院の歯科衛生士からのブラッシング指導の内容を徹底していただいたことと、月1回の受診時における当院でのスケーリング(浅い部分の歯石除去)により、安全に治療を進めることができました。治療期間9か月でスペースの閉鎖とガタガタが解消しました。治療後にレントゲンを確認したところ、歯槽骨の状態にほとんど変化はなく、歯周病の悪化はみられませんでした。現在は後戻り防止のリテーナーという取り外し可能な装置を使用しながら3か月に1回経過観察で受診されてい ます。