矯正治療例
Case
治療例は、患者さんおよび保護者の同意を得て掲載しています。
13歳2か月の女子
ガタガタと上下の前歯の突出をマルチブラケット装置(抜歯治療)で治した症例
- 主訴:前歯のガタガタと、口もとが出ていて見た目が気になる。
- 診断名:叢生(そうせい)、上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)
- 治療に用いた装置:マルチブラケット装置(上下左右の前から4番目の歯を計4本抜歯)
前歯のガタガタと、上下の前歯が前方に出ていて口がとじにくいとのことで来院されました。診査・検査したところ、土台(歯槽骨)に対して歯が大きく、きれいに歯が並ぶスペースが足りていないことがわかりました。多少のスペース不足であれば歯並びを広げたり奥歯を後ろに下げたりして並べることもありますが、この患者さんのスペース不足は重度でした。もしこのまま無理やり並べようとすると治療後に前歯がさらに出たり、しっかり咬めなくなることが懸念されました。また後戻りのリスクが高まると考えられました。熟慮した上で、上下左右の前から4番目の永久歯を抜歯する「抜歯矯正」をお勧めしました。
この患者さんは抜歯するということに最初は少し抵抗がありましたが、抜歯矯正の方が審美面・機能面で満足できる状態になることなどについてご説明したところ、最終的に抜歯矯正で治療したいと希望されました。近医にて抜歯後、「マルチブラケット装置」という装置を装着しました。この装置はすべての歯の表面に「ブラケット」というボタンを特殊なボンドで接着し、アーチ状のワイヤーを結び付ける装置です。ワイヤーの弱い力が歯に加わることで、少しずつ歯が動いていきます。月に1回通院し、その都度ワイヤーを交換していきます。まずガタガタを解消し、その後前歯をうしろに下げました。ワイヤーを交換すると毎回、数日間は弱い痛みや違和感があったそうですが、3~4日ほどで気にならなくなったそうです。マルチブラケット装置は目立ちにくいブラケット(セラミック製ブラケット)を使用したため、見た目はほとんど気にならなかったとのことです。治療期間はちょうど2年程度でした。見た目だけでなくしっかり咬めるようになり、口も閉じやすくなってとても満足されました。現在は、上にリテーナーという取り外し可能な装置、下には内側から見えないようにワイヤー固定し、3か月に1回通院しています。この経過観察は「保定治療」といい、2年以上は引き続き通院します。
※当院はできる限り「非抜歯」の治療を心がけており、抜歯治療は最終手段と考えています。治療後の状態を予測し、どうしても抜歯が必要な場合は抜歯治療のメリット・デメリットをご説明いたします。最終的にはご本人やご両親のご希望を加味した上で判断いたします。