矯正治療例
Case
治療例は、患者さんおよび保護者の同意を得て掲載しています。
10歳5か月の男子
出っ歯と深いかみ合わせを、アクチバトールを用いて治療した症例
- 治療前
- 治療後
- 使用した装置:アクチバトール
- 主訴:上の前歯が前に出ている。下あごが小さい。下の前歯が上あごに当たって痛い。
- 診断名:骨格性上顎前突(こっかくせいじょうがくぜんとつ)、過蓋咬合(かがいこうごう)
- 治療に用いた装置:アクチバトール
上の前歯と下の前歯の間に1センチくらいの距離があり、口が閉じにくく見た目が気になるとのこと。また、前歯のかみ合わせがとても深いため、下の前歯と上あごの粘膜が接触しており、上あごの粘膜が炎症を起こして痛みのある状態でした。この患者さんは「出っ歯」と「過蓋咬合」の複合タイプのかみ合わせでした。出っ歯というと上の前歯が前方に出ている様子を想像しますが、この患者さんを検査したところ下あごが平均よりもかなり後ろに位置していることがわかりました。下あごの成長が弱い「骨格性上顎前突」という診断名でした。「アクチバトール」という取り外し可能な装置を使用することになりました。この装置を口の中に入れて口を閉じると、下あごを「前咬み」した状態になります。下あごを前咬みした状態を維持することで、成長期の患者さんであれば下あごの前方成長が促されます。また、この装置は前歯の深いかみ合わせ(過蓋咬合)を改善する働きもあります。この装置は睡眠時を中心に一日12時間使用するものですが、長時間使用した方が効果的であるため、毎日学校から帰宅したらすぐに装置を装着するようにお願いしました。
1年10か月が経過し、下あごが正常な位置まで成長し、出っ歯が解消しました。また過蓋咬合も改善し、下の前歯で上あごの粘膜を咬むことはなくなりました。下あごの成長が期待できるのは「身長がのびている間」に限られていますので、早めに対処することで、あごの成長を用いた治療を行うことができました。矯正治療前は、13歳頃から「抜歯矯正(永久歯を4本抜歯してならべる矯正治療)」になるかもしれないとの説明をしていましたが、このまま下あごの位置が落ち着けば、仕上げの治療(マルチブラケット治療)は不要になるかもしれません。